
交通事故の被害者は保険屋さんの養分にされている?
わたしが交通事故で最初につまづいたのが、どの医療保険を使って治療するかでした。
そこで生じるのが、自賠責保険と労災保険の選択です。
どちらを選択すべきか、補償内容の比較も含めてまとめました。
労災保険と自賠責保険の違いを知らないと損する
労災保険と自賠責保険では目的が違うから理解した人だけが得をする。
労災保険のメリット
- 労災診療費の単価が1点12円と安い。
- 療養認められている間は全額支給される。(120万円を越えても支給)
- 休業特別支給金は自賠責と相殺されない。
- 過失が7割以上あっても、満額補償される。(過失相殺されない)
- 労災指定病院で受診すれば窓口での支払いがない。(立替えがない)
上から順に説明します。
自賠責保険で受診する場合の治療費は自由診療扱いになります。
労災だと、1点12円のところを自賠責(自由診療)だと1点20円~30円くらいになります。
治療の内容が変わらないのに、患者に黙って3倍くらい請求してきます。
(先進医療を受けられるなら納得できますけど)
治療費を節約して自賠責保険の慰謝料にまわしましょう。
治療が必要と判断されている間は、120万円を越えようが支給されます。
(保険会社からの勝手な治療費の打ち切りが出来ない)

オレンジ色の休業補償(給付基礎日額60%)は自賠責保険の支払いから相殺されます。
緑色の休業特別支給金については、相殺されずにもらえます。
労災保険を選択しただけで、休業特別支給金のもらい得です。
自分の過失が7割以上(過失相殺されてしまう)と思われる場合や、相手が無保険や任意保険未加入または逃亡や行方不明で請求が困難な場合でも、満額補償されます。
労災指定病院での受診なら窓口で治療費の支出がないので気楽です。
労災保険と自賠責保険の補償内容を比較した表です。
労災保険 | 自賠責保険 | |
療養補償 | 全額支給 | 120万円まで |
休業補償(休業損害) | 給付基礎日額の60%×休業した日数 | 1日あたり6,100円 |
休業特別支給金 | 給付基礎日額の20%×休業した日数 | なし |
入通院慰謝料 | なし | 日額4,300円×入通院日数※120万円まで |
傷病補償 | 傷病等級に応じて支給。傷病補償年金・傷病特別支給金・傷病特別年金がある。 | なし |
障害補償(後遺障害慰謝料) | 障害等級第1~14級に応じて支給される。障害補償給付・障害特別支給金・障害特別年金がある。 | 後遺障害の等級によって異なる。 |
後遺障害逸失利益 | なし | 基礎収入×労働能力喪失率×労働可能年数に対するライプニッツ係数 |
遺族補償 | 遺族補償年金は遺族の人数に応じて支給される。遺族補償一時金は、給付基礎日額×1,000日分。他に、遺族特別支給金・遺族特別年金・遺族特別一時金がある。 | 遺族の人数によって支給される。 |
死亡慰謝料 | なし | 本人分として400万円 |
死亡逸失利益 | なし | (年収もしくは年相当額-生活費)×死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数 |
葬祭料 | 「31万5000円+給付基礎日額×30日分」もしくは、「給付基礎日額×60日分」の多いほうが支給される。 | 100万円 |
介護補償 | 常時介護・随時介護の状態に該当した場合に支給される。 | なし |
特別受給金 | 二次健康診断等給付 | なし |
労災保険は「障害補償」「遺族補償」「介護保障」などのアフターケア(年金や特別支給金)が手厚くなっています。
交通事故の示談が成立した後も、サポートを受けられます。
自賠責保険は「慰謝料」「逸失利益」など将来に渡って発生する費用を一時金で受け取れます。
一時金を受け取った後(示談成立後)は何のサポートもありません。
ただし労災保険にもデメリットはある
メリットに比べれば少ないデメリットも知っておくべきです。
- 勤務先に労災申請を嫌がられる。
- 第三者行為災害届を提出する手間がかかる。
- 療養費の明細書を開示請求しなければならない。
業務中の交通事故は100%第三者(加害者)に労災事故の責任がある。
会社が労災を嫌がる理由は、労災保険の掛金が高くなる(メリット制)という勘違いです。
交通事故の責任は100%加害者(第三者)であり、職場の責任を問われたり掛金が上がることはありません。
わたしも勤務先の社長が全く内容を理解しておらず、話し合いが平行線をたどりました。(治療費を労災の代わりに会社が払う)
勤務先への説明は「第三者行為災害届」を担当者に見せながら、労働基準監督署に責任を問われず掛金も上がらないと説明してみましょう。
それでも納得してもらえない時は、労働基準監督署に相談して勤務先を指導してもらう事もできます。
強引にやりすぎると職場での立場が悪くなるのではないか?と心配だと思いますが、労災を隠蔽する体質の勤務先なんて見切りをつけた方がいいかもしれません。
わたしはそれで会社を辞めました。笑(自己責任でお願いします)
第三者行為災害届を提出しなければならない。
第三者(加害者)についてわからなくて記入できない箇所は労働基準監督署に相談すれば、調べてもらえます。
労災保険の手続きをまとめると
- 勤務先の担当者に労災で治療することを認めてもらう。
- 第三者行為災害届を労働基準監督署に提出する。(勤務先の担当者がやるべき)
- 労災指定病院に関係書類を提出して治療する。
上記3点を解決出来れば、「療養補償」と「休業補償」「休業特別支給金」の請求が出来るようになります。(後遺障害が残っても障害年金なのサポートが続けられる)
怪我の治療に専念するためにも、労災保険を試してみてください。
(ただし自己責任でお願いします)
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